ゲノムと企業人事[会員限定]
ここ10年でゲノム分野の研究は急速に進んだ。DNAのアミノ酸配列の解読ばかりでなく、その周辺とでもいえるエピゲノムと言われる分野も急速に研究が進みつつある。ゲノムは両親からそのまま組み合わせで受け継ぐものだが、エピゲノムは受精で一旦ゼロクリアされるが、細胞分裂や胎児の段階の外的環境によって形作…続きを読む
慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科 特任教授
1978年東京大学工学部航空学科を卒業し日本国有鉄道に入社。 1984年米国プリンストン大学工学部修士課程を終了し、マッキンゼーアンドカンパニ-に入社。東京オフィスのコンサルタントとして、顧客の大手日本企業の事業戦略策定や組織設計に従事。 1989年に世界有数の人事組織コンサルティング会社である米国のワイアットカンパニーの日本法人ワイアット株式会社(現ワトソンワイアット株式会社)に入社。 1993年に同社代表取締役社長に就任。主に大手日本企業、ベンチャー企業や外資系企業の人材ビジョンの策定、成果主義人事制度や自由と自己責任に基づく人材育成施策の企画、導入に携わる。 1997年7月社長を退任、個人事務所を通じて、コンサルティング活動や講演活動を行う。2000年5月慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科教授に就任。 個人事務所による活動に加えて、藤沢キャンパスのキャリアリソースラボラトリーを拠点とした個人主導のキャリア開発についての研究に従事。2011年11月より現職。
ここ10年でゲノム分野の研究は急速に進んだ。DNAのアミノ酸配列の解読ばかりでなく、その周辺とでもいえるエピゲノムと言われる分野も急速に研究が進みつつある。ゲノムは両親からそのまま組み合わせで受け継ぐものだが、エピゲノムは受精で一旦ゼロクリアされるが、細胞分裂や胎児の段階の外的環境によって形作…続きを読む
経営人事、戦略人事などの言葉は最近よく耳にする機会が増えていますが、特に経営人事という分野は筆者がパイオニアの一人でもあります。今回のコラムでは、経営人事の視点でものを考えるのは、他の人事の視点とどのように違うのかについて考察していきます。経営人事の視点ではないものとして、筆者が挙げているのは…続きを読む
社会的視点で雇用について論じる場合、今までは雇用の量的側面が重視されてきました。その代表が失業率であり、有効求人倍率です。しかしながら、最近雇用の質についての議論が盛んになされつつあると筆者は言います。質を数値で把握しようとした試みが、業種別の3年以内の離職率というここ数年公表されているもので…続きを読む
近年多くの企業で働き方の問題への関心が高まっています。早朝出勤や、残業削減、休暇の取得を増やすなど、具体的な取り組みのお話もよく聞かれます。しかし、筆者は日本企業にとって働き方改革はとても奥の深い問題だと感じており、働き方改革の入口で最も重要なのは、経営幹部や管理職が、なぜ、何のために働き方改…続きを読む
筆者が長年活動の拠点としてきた慶応大学SFCのキャリアリソースラボラトリーが設立されたのが2000年5月、15年前になります。社会情勢や時代背景もあり、キャリア自律の最初のターゲットは20代若手社員でした。それが最近明らかに変化してきているそうです。特に近年は、バブル入社組の40代や、定年延長…続きを読む
組織人事の世界はややもすると、哲学や思想の世界、つまり人文科学的な世界で語られがちでしたが、最近は経営学や経済学、つまり社会科学的な視点が重要視されるようになってきました。そして心理学や社会心理学、さらには哲学などが、脳神経科学や分子人類学などと結びつき始めています。 筆者は、これからは社会…続きを読む
組織人材マネジメントには、大きく二つのタイプの仕事があります。経営が意思をもって決めたビジョンや戦略を実行するために行う攻めの人事と、経営的に大きなダメージを未然に防ぐために行う守りの人事です。過去日本の人事は守りを重視してきたわけですが、攻めの戦略に沿ってギアチェンジが行われている会社も少な…続きを読む
“モチベーション”というキーワードがもてはやされて久しいですが、筆者は日本では多様な問題を精神論、やる気の問題に収斂させすぎているのではないかと感じることがあります。昔の若手社員の仕事は、やる気でカバーできる単純化された仕事から始まったため、その間にいろいろ学べる助走期間が長かったのですが、今…続きを読む
日本をはじめ先進国の産業構造は高度にサービス業化しつつあります。しかしながら日本では、そもそも外国に比べて、製造業とサービス業、大手企業と中小企業の賃金格差が大きく、若年者離職率なども差が大きい傾向があります。いわば雇用の量を支える新サービス業の雇用の質が低いことが、これからの日本全体の課題で…続きを読む
筆者は5年ほど前から沖縄県の雇用問題やキャリア教育にかかわってきました。サービス業、かつ、中堅中小企業が中心となる沖縄では、輸出型製造業の大手企業のような人材育成は難しく、地域としての人材が成長するモデルを地域として実現していくことが求められると筆者は考えています。2012年度には、以 前か…続きを読む
21世紀のキャリア環境、人材育成環境の特徴の一つは、想定外変化であり、そのような変化に対応していくことがますます求められています。しかしながら、近年問題とされていることの一つに、学びの普遍性が低くなっていることが挙げられます。様々な調査によると、そもそも日本の教育が、学習したことの普遍性、持続…続きを読む
21世紀のキャリア環境の特徴は、想定外変化の時代であるということです。様々な事業環境の変化に10年先のキャリアなど想定できない時代であり、また、個人の環境にも想定外変化が起こりやすくなりました。このような状況の中、人事制度にも変化が求められていると筆者は言います。筆者は「意味を込めない、無色透…続きを読む
2月末にインヴィニオチャイナ設立セミナーを上海にて開催し、弊社のアドバイザリーボードである高橋俊介さんにもご登壇頂きました。高橋さんは、セミナーへの参加者との会話などから、日本企業における中国人幹部育成、日本の人材育成ノウハウへの高い期待を感じたそうです。そこで、今回のコラムでは、中国における…続きを読む
前回掲載のコラムでは、筆者の所属する慶應キャリアラボとリクルートのワークス研究所の共催で実施した21世紀キャリアに関する研究会での調査において分かったことの一つとして、バブル入社組の課題について考察しましたが、今回のコラムでは、若年期のキャリア形成の実際と課題について考察します。インタビューか…続きを読む
筆者が所属する慶應義塾大学のキャリアリソースラボラトリーは、21世紀キャリア研究会を実施してきました。大規模な定量調査やインタビュー調査などを行った結果、明らかになったことの一つに、仕事観の明確度と仕事キャリア満足の相関があります。そこで問題になったのは、仕事観の明確度自体の数字でした。40歳…続きを読む
近年、組織の人材育成力が弱体化しているという課題は多くの日本企業で認識されつつあります。このような状況の中、上司や管理職が部下の育成にもっと積極的にならなければいけないというお考えを人事部の方などから課題として伺うことも多くあります。筆者は、その考え方自体は間違っていないが、問題は方法論にある…続きを読む
筆者は以前からピラミッド型組織対自律型組織という枠組みで組織論を展開してきました。洋の東西を問わず多くの組織で課題となっているのは組織の自律性向上です。筆者が考える理想的な自律型組織のイメージとして提唱しているのは“サッカー型組織”で、メンバーが特定の戦略という抽象性の高いメッセージを共有する…続きを読む
欧米でも日本でも、右肩上がりではなくなってしまった変化の激しい時代に、企業とそこで働く人双方の持続可能性の両立はこれまでの人事の考え方の延長では難しいことが明らかになりました。そろそろ人事が経営の勉強をしっかりとして経営の言葉で人事を語り、どのような形で人事が優位性構築のために力になれるのかを…続きを読む
今年の大学新卒の内定率は、就職氷河期を下回っていると言われています。ところが一方で新卒の有効求人倍率は就職氷河期時代より大分に高いようです。この状況から、アンマッチ問題が深刻化してきているのではないかと筆者は考えています。その中でも目立つのは、「何がやりたいのかわからない」と就職活動自体のモチ…続きを読む
種の起源を著したダーウィンは「生き残るのは強いものではない、変化に対応できたものが生き残るのだ」と言っています。人間はその変化対応能力の高さから現在のような繁栄にいたったと言っても過言ではないでしょう。企業においても、経験から学ぶ、学びを共有することは変化対応能力の中核となるものです。しかしな…続きを読む