Leadership Insights
OECDが2011年に実施した幸福度調査は興味深い結果を示しました。日本の客観的な数値で測れる幸福度は世界の中でも上位に位置するのですが、主観的な幸福度は下位グループに属するのです。この結果に疑問を持った筆者は、この謎を解く鍵になりえるキーコンセプトを行動経済学の世界的権威であるダニエル・カーネマン博士の講演の中に見つけました。「経験する自己」と「回想する自己」という人間の中に存在する2種類の自己の認識に差が生じることに関連があると考えたのです。「回想する自己」には認知バイアスが生じやすいのですが、特に日本人は、「経験する自己」と「回想する自己」の認知ギャップが外国人よりも相対的に大きいのではないかと筆者は考察します。
 
2月末にインヴィニオチャイナ設立セミナーを上海にて開催し、弊社のアドバイザリーボードである高橋俊介さんにもご登壇頂きました。高橋さんは、セミナーへの参加者との会話などから、日本企業における中国人幹部育成、日本の人材育成ノウハウへの高い期待を感じたそうです。そこで、今回のコラムでは、中国における人材育成について考察していきます。日本人と中国人の問題に限らず、自国内では問題になりにくいことが、なぜ現地で起こるのか、その背景の一つに人の思考行動特性の違いが挙げられます。日本と中国の歴史的背景を踏まえた仕事観などの価値観の違いに関する理解、合理的客観的に問題解決を行う習慣を組織として定着させることが基本なのです。一方、リーダーシップ教育においては、日本人でも中国人でもまずは気づきと自己理解などの要素が最も重要になってきます。
 
前回のコラムでは、顕在化した問題を特定する方法について解説しました。今回は、課題の特定、潜在的問題の特定にフォーカスし、その方法についてご紹介いたします。最初の問いを設定しなおすことで、ツリーの構成要素の述語が微妙に変わってきます。それによってチャレンジすべき課題を明らかにしたり、将来の潜在的な問題を浮き彫りにすることが出来るようになります。筆者は戦略構築のワークショップやアクションラーニングの仕事を通じて、このようなアプローチの重要性が高まっていると感じており、イシュー・アナリシスを常に行って現状に満足せずに課題を発見していくことが日本のビジネス・リーダーに求められているのだと言います。激しい環境変化と企業間競争に対応していくためには、顕在化した問題だけではなく、潜在的な問題を浮き彫りにすることで、将来の問題・課題に備えていかなければならないのです。
 
先日仮説検証型のイシュー・アナリシスについての解説したコラムをご紹介いたしましたが、多くの方よりご好評を頂きました。そこで今回はその続編として問題・課題発見型のイシュー・アナリシスについてご紹介いたします。このコラムでは、高い視点からの問題発見やまだ顕在化していない問題の早期発見をどのように行うかについて解説していきます。“問題解決”というテーマはビジネス書や研修などでも多く取り上げられるテーマですが、問題解決で最も重要であり難しいのは、問題や課題を発見することなのです。自立/自律型人材の重要性が叫ばれて久しいですが、問題・課題発見能力はその重要な要件なのです。
 
中国では通常、リーダーシップのことを「領導力(リンダオリー)」と訳します。しかし、この言葉が指すものは「リーダーシップ」よりも意味の範囲が狭く、そのことが中国現地法人のリーダーシップ開発にとって足かせになっているかもしれないと筆者は考えており、「領導力」を補うリーダーシップの訳語として「主導力(ジューダオリー)」という造語を使っています。今回は、2つの言葉を使うことになった経緯のお話を通じて、中国でのリーダーシップ開発の現状と課題をお伝えしたいと思います。