組織文化


組織文化(Organizational Culture)
組織開発の先駆的研究者であるエドガー・シャインは、「組織文化とは、集団が外部への適応や内部統合の問題に対処する過程で学習した、集団自身で発見し発展させた基本的仮定であり、その集団の問題解決にとって有効であることが認められており、知覚、指向、感覚の“正しい方法”として新しい組織メンバーに教えこまれるもの」と定義している。例えば、独断専行型のワンマン社長がけん引して急成長した会社では、ワンマンなリーダーシップスタイルが“正しい方法”と解釈され、他方全員参加型の意思決定法で成功を遂げた会社では、民主的スタイルが“正しい方法”と解釈される。また市場において激しいシェア争いを勝ち抜いた会社は、攻撃的な営業スタイルが”正しい方法“と認識され、革新的な新製品を次々と生み出すことで売上を伸ばした会社は、創造とイノベーションこそが”正しい方法“と認識される。
組織文化は、市場や顧客、競合など外部環境に対する「ものの見方」や「受け取り方」、会社における「仕事の進め方」、組織内での「振るまい方」など、社員の思考と行動のパターンに強い影響を及ぼす。その一方で、組織に長くいる人間にとって組織文化は空気のような存在で、日頃ほとんど意識することはない。それゆえ、外部環境の変化に合わせて会社が変わろうとする際に、その企業の組織文化は社員の行動変容を無意識に呪縛する。変革を迫られる企業が中々変われない原因がここにある。
なお、組織文化に最善はないとされる。すなわち、それぞれの組織文化に強みと弱み、メリットとデメリットがある。また事業内容や外部環境が異なれば、有効に機能する組織文化も自ずと異なる。