リーダーシップ理論の変遷


リーダーシップ理論の変遷(The Change of Leadership Theory)
「リーダーとは」「リーダーシップとは」という議論は、古今東西変わらず論じられている非常に古くて新しいテーマである。また、論者の数だけリーダーシップ理論が存在する、と言われるように、非常に多元的・複雑なテーマでもある。
古代ギリシャ時代から1940年代頃まで長く主流だったのが、リーダーシップ特性論である。「偉大なリーダーには共通する特性がある」という前提によって、過去の優れたリーダーが持っている特性を明らかにしようとした。しかし、そもそも人々の特性の測定・評価が不十分であり、特性を持っているが成果を出していないリーダーのケースなどもあり、理論的な限界を迎える。
リーダーシップ特性論に対する反動的な立場から、リーダーの行動スタイルからリーダーシップを捉えたのがリーダーシップ行動論である。1940年代後半に、戦後のアメリカにおいて多数のリーダーを発掘・育成する必要から「リーダーを作り上げる行動がある」という前提に立ち、どのような行動が有効なリーダーを作り上げるのかを発見しようとした。しかし、この理論も、リーダーの行動だけが全ての成果に影響されるわけではない、その時点で有効だったことが時間の経過、状況の変化に関わらず有効であるとは限らない、などの問題点が指摘された。
1960年代に、置かれている状況が異なれば、求められるリーダーシップも変わって来るはずである、というリーダーシップ条件適応理論が登場する。「全ての状況に適応される、唯一絶対のリーダーシップ・スタイルは存在しない」という前提に基づき、どんな人でも適切な状況に置かれればリーダーシップを発揮出来るという立場を取る。
1970~1980年代に登場したカリスマ的リーダーシップ理論・変革的リーダーシップ理論は、アメリカの長期的経済の低迷化、急激な経営環境の変化によってもたらされた。市場の動きがかつてないほど急変し、既存の価値観や命令体系では企業が継続的に成長することが不可能になってきた。そんな中必要とされるのが、カリスマ的リーダーのカリスマ性であり(カリスマ的リーダーシップ理論)リーダーの掲げるビジョンとそれを実行する能力である(変革的リーダーシップ理論)と各論者が主張している。
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