リッカートのマネジメント・システム論


リッカートのマネジメント・システム論(システム4理論)/ミシガン研究(Likert’s System of Management)
マネジメント・システム論とは、リーダーシップ行動論の1つで、ミシガン研究とも称される。ミシガン大学社会調査研究所所長、リッカート(R.Likert)の調査によって1961年に提唱された。リッカートは組織をシステムとして捉え、リーダーシップに関わる管理システムを4つに分類し、権威主義・専制型(システム1)、温情・専制型(システム2)、参画協調型(システム3)、民主主義型(システム4)と規定。リッカートはこの中で民主主義型のシステム4を採用している経営組織の業績が最も高い、と主張した。
高い生産性をあげる組織は、リーダーが部下の人間的側面と目標指向的な作業チーム形成を図る「部下中心型」=関係志向のマネジメントを行い、低い生産性の組織はリーダーが常に生産を上げるよう圧力をかけようとする「仕事中心型」=課題志向のマネジメントを行っている事が多いことが発見された。
システム1 権威主義・専制型 → 徹底した課題志向
・権威主義的管理方法で、リーダーは部下を信頼せず意思決定に参加させない
・部下は、恐怖・脅迫・懲罰によって働かされ、時々与えられる報酬で何とか生活している
・リーダーと部下の相互作用は稀で、統制機能はトップに集約されている
システム2 温情・専制型 → 課題志向>弱い人間関係志向
・リーダーは部下をある程度信頼するが、主人が召使に対するような恩着せがましいやり方をとる
・予め決められた範囲では部下のレベルでも決定できるが、多くの意思決定・目標設定はトップが行う
・報酬・懲罰・罰のほのめかしによって、部下の動機付けを行う
・リーダーと部下の相互関係はあるが、恩着せがましく、部下の側には恐怖と警戒心がみられる
システム3 参画協調型 → 課題志向=人間関係志向
・リーダーは部下に対し全面的ではないがかなり信頼しており、基本的方針や全般的決定権はトップにあるが、個別問題は部下に権限委譲される
・コミュニケーションは双方通行的に行われ、動機付けは報償と時により懲罰、ある程度の参画が用いられる。
・相互作用も頻繁になり、統制機能のかなりの部分が部下に委譲されている。
システム4 民主主義型 → 課題志向 < 人間関係志向
・リーダーは部下を全面的に信頼し、意思決定は広く組織全体で行われるが、バラバラにならずに統合されており、コミュニケーションは上下のみならず同僚間でも行われる。
・部下は全面的に参画が認められ、動機付けられ、広範な相互作用が確保される。
・評価と統制は全ての階層で完全に行われる。
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