パス・ゴール理論


パス・ゴール理論(Path-goal theory of Leadership)
パス・ゴール理論とは、ハウス (R.House) が1971年に提唱した、リーダーシップ条件適応理論の1つ。リーダーシップの本質は「メンバーが目標(ゴール)を達成するためには、リーダーはどのような道筋(パス)を通れば良いのかを示すことである」という考えに基づいている。
つまり、「メンバーの目標達成を助けることはリーダーの職務であり、目標達成に必要な方向性や支援を与えることはメンバーや組織の全体的な目標にかなう」ということになる。ハウスは、まずリーダーのリーダーシップ・スタイルを指示型・支援型・達成型・参加型の4つに分類した。
指示型リーダーシップ
課題志向が高く、メンバーに何を期待しているかをはっきり指示し、仕事のスケジュールを設定、仕事の達成方法を具体的に指示する
支援型リーダーシップ
相互信頼をベースに、メンバーのアイディアを尊重、感情に配慮してニーズに気遣いを示す
参加型リーダーシップ
決定を下す前にメンバーに相談し、彼らの提案を活用する
達成志向型リーダーシップ
困難な目標を設定し、メンバーに全力を尽くすよう求める
更に、ハウスは、リーダーを取り巻く状況を、業務の明確さ、経営責任体制やチームの組織といった「環境的な条件」とメンバーの自立性、経験、能力といった「部下の個人的な特性」の2つの側面から分析した。リーダーの行動が環境的な要因に対して過剰だったり、部下の特性と調和しない場合にはリーダーシップは発揮出来ず、逆にリーダーの行動が条件に適合している場合に、リーダーシップが発揮出来る、と主張した。
道筋(パス)を指し示すことが、何故全体目標にかなうのか、という点について、パス・ゴール理論では、モチベーション理論の中の期待理論が活用されている。
期待理論は、「人や組織が動機づけられるためには、①魅力的な報酬 ②明確な目標 ③必要充分な戦略の3条件が必要である」とする考え方である。
行動を起こす→目標が実現する→魅力的な報酬を得る
一連の期待の連鎖が起こる事によって、モチベーションが発生する、という事になる。
この期待理論をパス・ゴール理論に適用すると、「環境条件に適合した、リーダーシップ行動パターンを実行が出来ているか」を確認するには
1)「目標を明確に示し、共有出来ているか」
2)「目標実現の為の必要充分で具体的な戦略を共有できているか」
3)「目標を実現する意義や、その成果がもたらす魅力を共有出来ているか」
を判定すればよい。
■関連用語