(その1)アクションラーニングとは


私もすでに人材教育の事業に関わって7年が経ちました。
私が教育事業に関わるきっかけとなったのは、前職インテラセットの取締役時代に店頭公開して間もない成長企業の社長に対してコンサルティング活動を行っていたときに、なかなか右腕になるような人材がいなくて困っていらっしゃる様子を拝見し、人材育成という領域にビジネスチャンスがあるのではないかと考えたことでした。しかし、当時流行していたMBA教育に疑問を持ち、より実践的な社会人教育の形があるのではないかと、「プロフェッショナル人材」の育成を標榜してインテリジェンス・ビジネス・プロフェッショナル・スクールを立ち上げました。
企業の経営者にとってみれば、今ある事業をきちんと回してくれる人材がまず重要です。MBA教育はその名称のとおり既成のビジネスの運営・管理(administration)の手法を学びます。しかし、企業価値の向上、事業の成長を追求するならば、単に事業を回すだけでなく、どんどん新たな方向性を打ち出して推進してくれるリーダーも不可欠です。そこで自ら儲かる仕組みを構築できる人材、「自律的人材、課題発見型人材」を育成することを自らの使命として試行錯誤してまいりました。
7年間を振り返ってつくづく感じるのは
① 自律的な人材を育てるためには知識を付与することよりも動機・マインドセットを変えることがなによりも重要であること、
② 人間には潜在能力が隠れていて、それを引き出すことが動機やマインドセットを変えるきっかけになるということ
③ 人が周囲の世界を認知するし方や思考のし方にはクセがあって、自分のクセを知り、あえて違う見方で周囲を見たり、いろいろな思考パターンを訓練をすることで可能性が広がる
ということに尽きます。
企業を変えるための手段として、コンサルティング会社を使うというのは過去20年くらいの間にずいぶん浸透し、とくに大企業の間ではごく当たり前のこととなりました。しかし、コンサルティングの結果すべての会社の業績が回復したかというとそんなことは起こっていないように思います。この最大の理由として、私は、コンサルティングという手法、上から下に方向性や戦略を示して現場にやらせるという方法が、日本人のカルチャーに合わない部分があり、結果として現場のリーダーが「その気」にならないからであると考えています。人は論理的に納得感があることはやるはずだ、という暗黙の前提があり、それ以外の動機付け要因を無視してしまっているように思えます。
インヴィニオの追求するテーマは、上記①~③まで踏み込んでいかに自律的(self-motivated)に動ける人材を育成するかです。もちろん全員がそうなれるとは思っていませんが、少しでも多くの人が自律・自立人材に変わっていくお手伝いをすることです。如何にして自分で納得できる解を見出してもらうのか、その一つの手法としてアクションラーニングという手法が今のところ最も優れたアプローチのように思えます。アクションラーニングは長くしかも濃密な時間を共有し、その中で解を見出すプロセスであり、ときに、その人の潜在意識や潜在能力をも引き出します。次回以降、私たちの取り組んでいるアクションラーニングというメソドロジーをもう少し詳しくご説明していきます。
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土井 哲