Leadership Insights / 上野 佳恵
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ソーシャルメディアの発達と普及によって、個人レベルで誰もが手軽に情報を発信できる時代になりました。しかしながら、手軽さが増したことによって情報を発信するということの意義や責任がなおざりにされているようにも思えます。コラムの最終回となる今回は、“情報を発信する”ということについて考察していきます。自ら情報を発信するということは、発した内容に関して責任が伴うものです。個人レベルのつぶやきであっても、ネットを介せば立派な情報発信となってしまいます。また、企業の情報発信力についても筆者は震災に際して考えさせられたと言います。いつ、誰に、どのような情報を伝えるべきか・伝えたいのか、日頃から企業は様々なステークホルダーに対する広報戦略に心を砕いているはずの企業であっても、肝心な時にそれができていなかったケースも多かったようです。情報はただそこにあるだけでは価値はなく、必要な人に正しく伝わり、活用されてこそ価値あるものとなるのです。
 
3月11日に発生した東日本大震災は、様々なものの見方や考え方を私たちが変える・変えざるを得ないきっかけとなりました。「情報」に関しても明らかになったこと、改めて認識させられたことが多々あったのではないでしょうか。今回のコラムでは、情報の本質、ネット社会が出来ること、情報を見極める力というポイントから、情報についてあらためて考えてみましょう。巷にはありとあらゆる情報が溢れ、その氾濫に呆然として目を背けてしまうこともしばしばありますが、私たちが瀬戸際に立たされたときに必要なものもまた情報なのです。
 
ある製品の市場規模を調べると、複数の異なる情報が出てきてしまうことがたびたびあります。そのような情報を前に、どれが正しいのだろうか?と悩んだことのある方もいらっしゃるのではないでしょうか。前回の「情報源の信頼性」という観点も重要な判断材料となりえますが、それだけではどの情報を正しいとするかは判断できません。具体的な事例をもとに考えてみます。あまりにも数値が違うので少々びっくりしてしまいますが、なぜ、このような違いが生じてしまうのでしょうか?それは、調査の目的とやり方が違っているからです。自分が使うべきなのはどの情報なのか、を判断するには、目的と調査方法を確認し、自分がその情報を必要としている背景や目的と照らし合わせて判断することで、情報を活かし、価値のあるものとすることができるのです。
 
企業における事業戦略策定の際には、様々な予測データが用いられています。みなさんも、活用されることがおありなのではないでしょうか?将来がなかなか見通せない不確実な世の中では拠り所の一つとして定量的な予測データがあると、戦略資料の説得力は格段に高まります。筆者はそもそも予測や将来見通しに絶対というものはないという前提に立つべきであるといいます。しかしながら、世の中に出ている「予測データ」はとあるデータバンクでも最も引き合いの多いタイプの情報なのだそうです。このようなデータは、よく名の知られたシンクタンクの予測によるものであっても、使い方には注意が必要です。いったいどのような点に気をつければいいのでしょうか。
 
世の中に情報があふれ返った昨今、ビジネスにおいて特に重要になってくるのが、いかに信頼性の高い情報を選び出すかということです。筆者は「情報源」という意識が希薄であると、情報の正確性・信頼性をあまり気にしなくなってしまうのではないかという問題意識を持っています。情報源の信頼性を見極める第一歩は、その内容についての責任の所在が明らかになっているかどうか、です。そこで、今回のコラムでは、今インターネットを使う方にはおなじみのWikipediaを例に、情報源を意識することの重要性について考えていきます。
 
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