Leadership Insights / 高井 正美
前編では、日本企業がハイパフォーマンスな組織風土を取り戻す上で“組織文化変革”、すなわちOCR(Organization Culture Reforming)のアプローチが有効であるという考察をご紹介しました。今回のコラムではOCRを実際にどう進めるかについて考えていきます。組織文化を体系的に理解するための分析ツールとして、競合価値観フレームワークを使い、アップルとサムスンの二社を具体的な成功事例として、どうすれば競合する価値観に打ち勝って、OCRを成功に導くことができるのかを考えていきます。しかしながら、海外企業の成功事例をそのまま日本企業に適用するのは難しく、筆者は日本企業における成功のカギは次世代リーダーによる活動の推進にあると考えています。
 
近年日本企業において、組織開発(Organization Development、略称OD)という言葉が再び注目を集めています。再びというのは、今から40年以上前にも組織開発という言葉がはやった時期があるからです。組織開発の究極の狙い・目的が、組織パフォーマンスを高めることであるとするならば、日本企業が今最も必要としているのは、「40年前にお蔵入りさせた組織開発概念をもう一度引っ張り出して埃を払い、単純に当てはめることではないのでは?」ないかと筆者は考えています。今日本で組織パフォーマンスが大問題になっているのは、歴史ある大企業です。このような大企業の場合、組織を機能させるための仕組みや制度は間違いなく様々整備されてきたはずです。それが何らかの理由で機能不全に陥った、それには過去の成功体験とそれを支えた組織文化から抜け出せないことに最大の原因があるのではないかと考えているのです。
 
前回に引き続き、今号も高井よりイノベーションをテーマとした書籍をご紹介いたします。本号でご紹介するのは、Vijay GovindarajanとChris Trimble共著の“Reverse Innovation”です。“Reverse Innovation”の主張を要約すると、「イノベーションはまず先進国から、という思い込みは間違っている。新興国市場を本気で開拓したければ、新興国発のイノベーションが必須となる。それどころか、新興国発のイノベーションが先進国市場へ逆流することが今後は大いにありえる」というものです。 2回にわたり、イノベーションのあり方に新たな光を当てる書籍をご紹介いたしましたが、両書のメッセージは、現在日本企業が直面する難局を乗り切る上で、大切なヒントを与えてくれるのではないでしょうか。日本のイノベーションを覆う閉塞感を打破する上で、一条の光となるのではないかと筆者は考えています。
 
本号と次号の2回にわたり、筆者が最近示唆を受けたビジネス書を2冊ほど皆さんにご紹介いたします。2冊ともイノベーションをテーマとした洋書(米国)で、いずれも米国アマゾンの読者レビューで非常に高い評価を受けています。

今回ご紹介するのは、Ron Adner著“Wide Lens”です。この本のキーメッセージは、「イノベーションを成功させたいのであれば、エンドユーザーへの価値提供だけに目を向けていてはいけない。バリューチェーン全体を見渡す広い視座を持ち、関連する全てのプレーヤーにとってのメリットを考慮する必要がある」という一点に要約されます。ミシュランとデジタルシネマのケースなど、イノベーションの勝者と敗者、今後の行く末についての興味深い洞察が展開されます。イノベーションの成功確率を高めることに関心のある方には、是非ご一読頂ければと思います。
 
弊社にとって2回目となるウェイ・マネジメントを主題としたセミナーが先月開催されました。3名のゲストスピーカーをお迎えして、貴重なご講演ならびにパネルディスカッションを賜りました。今回のセミナーでもっとも印象的だったのは、ウェイ・マネジメントが目的から手段への確実な進化を遂げているように感じられたことだと筆者は言います。今回ご登壇頂いた3社は、いずれも経営視点でのニーズと目的を明確に設定し、ウェイ・マネジメントを目的達成のための手段と位置づけて戦略的な取り組みを推進されています。今回のコラムでは、グローバル、ダイバーシティ、エンゲージメントなどのキーワードから、「進化を遂げるウェイ・マネジメント」について考察します。