Leadership Insights / 丸山 嘉浩
2012年末の総選挙で首相となった安倍晋三氏のもとで、日本経済の再生を目指すための経済政策が打ち出されました。アベノミクスと呼ばれる経済政策は、日銀による積極的な金融緩和、政府の財政出動による総需要の拡大、産業政策による成長分野への支援、という3つの主要な柱があります。今回はこのアベノミクスの中の金融緩和の効果を企業財務の視点から検証していきます。筆者は、金融緩和によるデフレの解消は限定的であると考えています。それは、日本企業の経営者の思考、そして行動パターンが、アメリカやイギリスの企業財務を前提にしたものとは大きく異なるからです。
 
東日本大震災とその後に発生した原発事故から始まった東日本の電力不足は、その後、日本全体の問題に発展しています。皆さんのオフィスでも節電が迫られ、色々と大変なことも多々おありなのではないでしょうか。企業研修の現場でも、影響はけして小さくありません。しかしながら筆者は、今回の電力不足がきっかけとなり、日本経済が20年間苦しんできたデフレを脱却する好機になるのではないかと言います。デフレは、有効需要に対する生産体制の供給過剰が原因と考えられ、製造業については特に今回の震災と電力不足がきっかけで収益性の低い事業の見直しをする機会となりうるということ、そして、夏季休暇の分散化、長期化が進むことで内需の拡大につながる可能性があると筆者は考えています。
 
スタンダード・アンド・プアーズによって2011年1月27日に日本の長期国債の格付けが引き下げられました。首相の発言などによりそのことが話題になりましたが、今回のコラムでは国債の格付けと日本の金融市場について過去にさかのぼり考察していきます。何故格付けが引き下げられたのか、また、過去に引き下げがあったときにはどのような動きがあったのかなどについて考えてみましょう。今後、日本企業が成長戦略を追及するには事業を成長分野にシフトするだけではなく、資本調達面においても戦略的な検討を行うことが重要になってくるのではないかと筆者は考えています。
 
今年になって社内の公用語を英語にするという発表を行った日本企業が何社かあります。筆者はこのような動きを日本企業の経営パターンが多様化してきたことの現れとして前向きに評価しています。社内の公用語を英語にするというのは、経営者から発せられる社内外への強烈なメッセージとなります。そこには自社のビジョンやミッション、戦略が色濃く反映されているからです。筆者は、社内公用語が英語になる動きが、企業の経営形態の多様化の起爆剤になりうると考えています。(2010年11月11日)
 
日本の電子機器メーカーは、多機能追及の製品・サービスの開発競争を続けています。皆さんも、ご自身でお持ちのデジカメや携帯電話などの機能をほとんど使いこなせていないと感じることは多いのではないでしょうか?しかしながら世界の市場を見渡してみると、ITの世界でもある種のミニマリズムを主眼に置いた製品開発が盛んになってきました。ありとあらゆる機能を満載したものを持ち歩くよりも特化した機能をより使いやすい形で提供する機器が消費者の支持を集めるようになったのです。筆者は日本の電子機器メーカーはある意味過去の成功体験から抜け出せていないのではないかと考察します。