Leadership Insights / 楠木 建
「企業価値の最大化こそが企業の究極のゴールだ」、「(株式)市場を向いた経営が重要」という論調が、1990年代の終わり頃から日本でも目につくようになりました。しかし、筆者はその考えには懐疑的です。本当に時価総額極大化は、経営がねらうべきゴールになりうるのでしょうか。ここでしばしば見過ごされがちなのは、外部の投資家や評論家が企業の成功なり強さを測るときにどの物差しを使うかということと、その企業の内部の経営者自身が何を最大化しようとして経営するかということの間には、大きなギャップがあることです。筆者は、経営は株式市場を向くべきではないと主張します。ソフトバンクとワールドの事例からその理由を考えてみましょう。
 
筆者は仕事上さまざまな業界のさまざまな企業の方々から、ご自身の事業の「戦略」なるものについてのお話を伺う機会があります。その「戦略」なるものが戦略としてよくできているかどうかには筆者なりの判断基準があるのですが、それは「ストーリーになっているか」ということです。戦略が機能する上で絶対の条件とは、その戦略の実行にかかわる社内の人々を面白がらせ、興奮させ、彼らを突き動かす力をもっていることであると筆者は考えており「ストーリーになっている」戦略にはその力があるのだと言います。
 
「ここには戦略がない」「もっと戦略的にいこうぜ」…ビジネスの世界でよく使われる「戦略」という言葉を皆さんはどのように定義しますか?これほどよく使われるのに定義が人によって様々な言葉も無いのではないでしょうか。筆者によれば、戦略とは「地図に道をつけること」なのだと言います。このモヤモヤ感のある言葉についてちょっと再考してみましょう。わかりやすい事例を織り交ぜながら戦略の本質に鋭く迫ります。
 
リーダーシップはビジネスの分野で、古くから不変の人気を保ち続けているテーマです。テーマとして安定した人気があっても、その中身には相当の流行廃りがあります。誰もが関心があるテーマであるけれども、しかしその本当の中身は誰にも分からないということなのでしょう。 筆者によるとリーダーシップ、それは「スキルセット」ではなく「スタイル」であるそうです。リーダーシップがスタイルであるとすれば、どうすればリーダーシップを身につけることができるのでしょうか?