Leadership Insights
前回掲載のコラムでは、筆者の所属する慶應キャリアラボとリクルートのワークス研究所の共催で実施した21世紀キャリアに関する研究会での調査において分かったことの一つとして、バブル入社組の課題について考察しましたが、今回のコラムでは、若年期のキャリア形成の実際と課題について考察します。インタビューから明らかになったキャリア形成の成功パターンには大きく分けて二つあり、両方に共通するのはある段階での普遍性の高い自分らしさへの気づきと絞込みにありました。また、キャリア形成で問題があるものとしては、広い意味でのキャリア教育、就職活動や社会からのメッセージの悪い影響が随所に見られると筆者は指摘します。若年期のキャリア教育がキャリア観教育になってしまっており、本来は仕事観教育であるべきなのです。
 
前号コラム「マインドセットは変えられるか?(上)」を配信した直後、多くの方からコメントを頂きました。筆者は、日本企業において、社員のFM化阻止&GM化促進が喫緊の課題であることを改めて強く認識したと言います。さて、今回のコラムでは、ドゥエック教授から送られてきた研究論文についてご紹介し、考察を進めます。ドゥエック教授の理論を企業研修に応用し、成果を上げたというその論文ですが、マネジャーが部下の人事考課や指導・教育などを行う際に、何らかの介入によりFMマネジャーのマインドセットを変えられないかということを検証しました。その結果、FMマネジャーであっても、マインドセットがGM側に近寄った状態を維持するようになったという成果が示されました。このような研究をベースにすれば、筆者は実践的なマインドセット変革プログラムを開発できる可能性が十分にあると感じています。
 
人材育成という仕事に関わっている人間にとって常に突きつけられるテーマは「果たして人のマインドセットは変えられるのか?」という問題ではないでしょうか。筆者ももちろんその中の一人であり、重要なテーマとして日々取り組んでいます。そんな悩める教育関係者たちに希望の光となる研究に取り組む学者がいらっしゃることが分かりました。現在スタンフォード大学の心理学部教授を務めるキャロル・S・ドゥエック博士です。この方は20年以上に亘り、人間のマインドセットの研究に取り組んできました。その研究成果を一般人にも分かりやすく解説した書籍がアメリカで出版され、大きな反響を呼びました。この書籍によると、子供を対象にした場合、マインドセットは知的成長に大きく関わっており、また、接し方でマインドセットを変えることが出来るということがわかってきているそうです。この研究結果を知った筆者は、成人教育にもこの理論が適用可能なのだろうか?という疑問を抱きます。
 
前回掲載致しましたパート1では、命題を論理的に分解する作業のポイントについて具体的な事例を元に解説しました。今回は、引き続き同じ事例を用いて、検討すべき論点は何であるかを明らかにしていくステップを詳しく解説していきます。是非皆さんもご自身の業務に適用してみてください。
 
筆者が所属する慶應義塾大学のキャリアリソースラボラトリーは、21世紀キャリア研究会を実施してきました。大規模な定量調査やインタビュー調査などを行った結果、明らかになったことの一つに、仕事観の明確度と仕事キャリア満足の相関があります。そこで問題になったのは、仕事観の明確度自体の数字でした。40歳前後ではほとんどの仕事観が最も低い値を示していたのです。なぜ40歳前後は仕事観が明確ではないのでしょうか。様々な背景を筆者は推測していますが、今後の10年を考えたときに、自身の仕事観とこれからのキャリア展望にどう向き合っていくのかが待ったなしの段階に差し掛かっていることだけは確かです。