Leadership Insights
今年は「組織の環境適応能力の開発」がこれまで以上に話題になるのではないかと筆者は感じています。そのような課題意識を持つようになったきっかけはお客様からお聞きする育成すべきリーダー像がぶれてきていると感じるようになったことです。これからは人材モデルの規定と同じかそれ以上に重要なこととして、組織としての環境対応能力(組織としてのコンピテンシー)を考えていく必要があるのではないでしょうか。
 
種の起源を著したダーウィンは「生き残るのは強いものではない、変化に対応できたものが生き残るのだ」と言っています。人間はその変化対応能力の高さから現在のような繁栄にいたったと言っても過言ではないでしょう。企業においても、経験から学ぶ、学びを共有することは変化対応能力の中核となるものです。しかしながら経験から学ぶ能力が低い人も少なくありません。筆者は個人が頭の中で仮説検証のサイクルをまわし学習するだけでなく、それを組織で共有する仕組みが重要であるといいます。その仕組みを推進することがリーダーの重要な役割なのです。
 
師走も中盤になり、今年を振り返っている方も多くいらっしゃることでしょう。今年は昨年から続く世界同時不況の影響が実感としてやってきた年でもありました。厳しい環境の中、削減された予算の中で発注する側としても、行う打ち手が確実に成果を求められた一年だったのではないでしょうか。このような状況の中では、よりいっそうソリューション営業の真価が問われることになります。そのような環境下でも売り上げを維持することができたソリューション営業担当者の共通点を筆者は二点挙げています。しかしながら、筆者がもっとも重要だと考えているのは、組織内にはそのポイントを「分かっている人」と「分かっていない人」が混在しており、「分かっている人」の暗黙知を形式知化し「分かっていない人」が行動として徹底できるレベルに引き上げていくことなのです。
 
今年の春にGMが破産してからさまざまな再建策が打ち出されていますが、年末になってまた大きな動きがありました。ヘンダーソンCEOの事実上の解任と、ヨーロッパの現地ブランドであるOpelとSaabの売却中止が打ち出されたことです。これらが自動車業界にどのような影響を及ぼすのかについて考えていきましょう。筆者は今回の新しい方向性は自動車業界全体の収益性をより早く回復させる可能性があると考えています。
 
「企業価値の最大化こそが企業の究極のゴールだ」、「(株式)市場を向いた経営が重要」という論調が、1990年代の終わり頃から日本でも目につくようになりました。しかし、筆者はその考えには懐疑的です。本当に時価総額極大化は、経営がねらうべきゴールになりうるのでしょうか。ここでしばしば見過ごされがちなのは、外部の投資家や評論家が企業の成功なり強さを測るときにどの物差しを使うかということと、その企業の内部の経営者自身が何を最大化しようとして経営するかということの間には、大きなギャップがあることです。筆者は、経営は株式市場を向くべきではないと主張します。ソフトバンクとワールドの事例からその理由を考えてみましょう。