Leadership Insights / エデューサーの視点
近年、組織文化に対する注目度が高まっています。筆者自身も企業変革に関わる仕事をしていると、組織文化そのものが変革のボトルネックになることもあり、組織文化変革に取り組む必要性を痛感しています。そんな折に、とある依頼がきっかけで、自社の組織文化を可視化し、議論するためのダイアログマットというものを開発しました。これまで、いろいろな会社で、このダイアログマットを使って、自社の組織文化を可視化し、議論していただきました。もちろん、どのような組織文化が良い、悪いというわけではなく、自社の進むべき方向性、戦略に、組織文化が整合しているかが重要になってきます。
 
筆者は様々な会社で研修やワークショップを行っていますが、開始時に行うアイスブレークによって、その会社の組織文化や仕事の進め方の特徴などが良く見えてくるのだと言います。特に、参加者の戦略的思考が不足している場合ほど、ワークショップ後の苦情・文句が多くなるそうです。戦略的思考とは、「目的から逆算し、状況や制約条件を考慮した上で最大限の工夫をする」という思考能力であり、それを参加者の方に身に着けていただき実践していただくことがその後の成果や実践の場に直結すると筆者は考えており、その観点からのアドバイスを細かく行うように心がけています。こうした戦略的思考が身に着き、勘所をつかむと、参加者の主体性はどんどん引き出されていくのです。
 
前編では、日本企業がハイパフォーマンスな組織風土を取り戻す上で“組織文化変革”、すなわちOCR(Organization Culture Reforming)のアプローチが有効であるという考察をご紹介しました。今回のコラムではOCRを実際にどう進めるかについて考えていきます。組織文化を体系的に理解するための分析ツールとして、競合価値観フレームワークを使い、アップルとサムスンの二社を具体的な成功事例として、どうすれば競合する価値観に打ち勝って、OCRを成功に導くことができるのかを考えていきます。しかしながら、海外企業の成功事例をそのまま日本企業に適用するのは難しく、筆者は日本企業における成功のカギは次世代リーダーによる活動の推進にあると考えています。
 
近年日本企業において、組織開発(Organization Development、略称OD)という言葉が再び注目を集めています。再びというのは、今から40年以上前にも組織開発という言葉がはやった時期があるからです。組織開発の究極の狙い・目的が、組織パフォーマンスを高めることであるとするならば、日本企業が今最も必要としているのは、「40年前にお蔵入りさせた組織開発概念をもう一度引っ張り出して埃を払い、単純に当てはめることではないのでは?」ないかと筆者は考えています。今日本で組織パフォーマンスが大問題になっているのは、歴史ある大企業です。このような大企業の場合、組織を機能させるための仕組みや制度は間違いなく様々整備されてきたはずです。それが何らかの理由で機能不全に陥った、それには過去の成功体験とそれを支えた組織文化から抜け出せないことに最大の原因があるのではないかと考えているのです。
 
2ケタ成長の時代が終わり、人件費も高騰、現地企業が実力を付けたため競争は激しくなるばかり、おまけに政治リスクが常につきまとう現在の中国。とはいえ、現地で見ていると“腹を決めて”中国戦略を邁進する企業も増えてきています。最近、このような企業の動きとして、統括会社の機能強化が目立っています。しかしながら、これまで事業部門主導で中国進出を行って来た日本企業にとっては、統括会社の機能強化は想像以上に難しく、 “インテグレート”が進まないケースが散見されています。このような状況を打破し、統括会社と事業会社が共通の目的の下にベクトルを揃えていくため、戦略の摺り合わせと同時に、「選抜研修」を通じた人材交流や、共通言語や共通の組織文化を形成していくような「組織開発」の取り組みを行う企業が増えてきているのです。