Leadership Insights / 経済理論と人事・人材教育
最近人の特徴をできるだけ正確につかんで、適材適所を図るという考え方が広まりつつあります。この考え方は非常にすばらしく、人間の持っている基本的な欲求をできるだけ満たすようにすることで、本人にとっても楽しくやりがいの感じられるような職務についてもらえる可能性が高くなります。 ただし、人事にとって頭が痛いのは、職種の種類には限りがあり、人数にも枠があるので、全員をジョブマッチング的な思想できれいに割り当てることが物理的に不可能なことです。組織の成果の最大化の点から最適な人材配置を考えるとき、「比較優位」の原則をうまく取り入れることができるかもしれないと筆者は考えています。
 
前回示したモデル企業の営業マンに利益に直接貢献しないような業務を加えてみたとき、会社の全体最適がどのように達成されるかについて考察を進めていきます。 コストセンター的な業務を営業マンが自ら行う場合、アウトソースする場合、社内にその業務を専門に行う人材を抱えた場合について比較してみると、営業マンの受け取りの極大化、外部のリソースの活用について合理的な判断が為されれば、全体最適が達成されていく可能性があることが示されていきます。
 
企業の部分最適と全体最適についての考察が進みます。一つの変数をみながら社員が合理的に判断して行動すると、結果として企業全体の最適が図られるような変数はないのでしょうか。モデルケースをもとに、全体最適を実現するアプローチについて具体的に考えていきます。 最近批判が多い、成果主義や目標管理制度は、完全に全体最適の視点にたって、上から順番に個人の仕事へとブレイクダウンされてこない限り全体最適につながることはありえないと筆者は言います。それは何故なのでしょうか。
 

部分最適と全体最適

(2005年07月15日)
経済学では、稀少な資源を如何に有効に使うかが人類にとって重要な問題であるという前提のもとに、基本的ないくつかの問題をさまざまな学者たちが研究してきました。 かつて経済学を学んだ筆者は、最近になって、経済学の理論が人事制度や人材の育成・配置などに適応できるのではないかと思うようになりました。企業活動も「優秀な人材」という希少資源をどれだけ有効活用するかということだからです。 今回は、「部分最適と全体最適」という問題について経済学の理論をもとに考えてみたいと思います。