Leadership Insights / 雇用の質について考える[会員限定]

雇用の質について考える[会員限定]

(2016年02月10日)

社会的視点で雇用について論じるときは、今まで雇用の量的側面が重視されてきた。その代表が失業率であり有効求人倍率だ。新卒の就職状況も内定率などが議論の中心だった。しかし最近雇用の質についての議論が盛んになってきた。その代表が「ブラック企業問題」だろう。いわゆる人を使い捨てにする、雇用の質のきわめて低い企業の問題だ。質を数値で把握しようとした試みの一つが、ここ数年厚生労働省が公表している、大学卒高校卒の業種別3年以内離職率である。この数字が発表されたときには、大きな衝撃があった。大学卒は3年で3割、高校卒は5割といった数字はよく語られてきたが、その数字が業界ごとにここまで違うかという驚きである。
例えば観光や宿泊業とか介護福祉などの分野は以前から離職率が高いと考えられてきたが、それが証明された形だ。観光宿泊業は、まず勤務地が僻地に多い。人が休んでいるとき休めない。さらには賃金水準が低い。星野リゾートの星野社長によれば、日本の宿泊業の生産性は欧米に比べて著しく低く、それが原因で賃金などの労働条件が高くなりにくい。その原因の一つは日本は休暇が集中し、100日黒字265日赤字というのが典型的宿泊施設の実態らしい。繁閑差が激しく、在庫の持てないこのような業界では、当然雇用も非正規を多く抱えざるを得ない。

一方介護福祉は、繁閑差がそこまで大きいわけではないが、24時間勤務などの問題はある。それ以上にキャリアステップが描きにくい、IT化などによる生産性向上が遅れている、収入が国の制度に依存するなど、社会的必要性は高くやりがいがあっても、雇用の質が上がりにくい。これだけ待機児童問題が深刻でも、保育士は労働条件が良くないので常に人手不足だ。

以上述べてきたのは、実は雇用の質でも働きやすさの部分である。これはもちろん改善されなければならない。一方でサービス業化する日本における人材育成の重要性については、すでにこのコラムでも述べたが、やりがいや成長は雇用の質でも、働きがいに属する部分である。

invenio menu icon続きを読む...


トラックバック (0)

invenio menu iconこのエントリーのトラックバックURL:
https://leadershipinsight.jp/mt/mt-tb.cgi/881

アンケートのお願い


ご意見・ご感想をお聞かせください

今後の執筆の参考にさせて頂きますので、ご意見・ご感想をお聞かせください。
また、今後扱って欲しい題材なども受け付けておりますので、自由回答欄にご記入ください。

  • 大変参考になったので是非続きを読みたい
  • 参考になった
  • 普通
  • あまり面白くなかった
その他 自由回答欄(*差し支えなければお名前もご記入下さい。)