Leadership Insights / ASTD2008 World Conference 速報版

ASTD2008 World Conference 速報版

(2008年06月10日)
(株)インヴィニオ プログラム・デベロップメント

グローバル化などに代表される市場環境の変化、社内の人材のキャリアに対する意識の変化等、人材開発を取り巻く環境は常に変化をしています。弊社では、このような変化に対応し、より価値のある新たなソリューションを創出するために研究開発部門の強化を行ってきました。その研究開発の一環として毎年、アメリカの人材開発にかかわる協会であるASTD(American Society for Training & Development)の世界大会に参加し、人材開発に関わる最新動向、グローバルに活躍する企業における人材開発の取組みなどに関する情報収集を行っております。
(ASTDは名前にAmericanとついていますが、ASTDの会員の内訳を見ると、ヨーロッパの会員数はアメリカに迫る勢いですし、近年ではアジア・中東などの会員も急激に増加しているなど、グローバル化しています。)

entrance.jpg

今回から複数回にわたって、このASTD世界大会の様子についてご報告していきたいと思います。

本年度の世界大会はカリフォルニア州のサンディエゴでの開催です。ASTDの会場は驚くほど巨大で、世界中からの参加者が一同に会して互いに学び、情報交換をする場が提供されています。ASTDでは世界の各企業における人材開発・組織開発の自社の取組みについての数百にわたるプレゼンテーションが行われます。

今回は、多岐に渡るプレゼンテーションのタイトル全てを見渡して、そこから見えてくる「人材開発担当者の今後の課題」について考えてみたいと思います。
今年のプレゼンテーションのタイトルをざっと見て最初に気が付くことは「人材開発の役割の変化」です。昨年のプレゼンテーションのタイトルには「グローバルリーダー育成」などいわゆる「コンテンツ」に関わるものが多く見られました。しかし今年度のタイトルには「タレントマネジメント」、「学習する文化(Learning Culture)」など「コンテクスト」に関わるものが増加したように思えます。

例えばCCL(Center for Creative Leadership)のプレゼンテーションを見てみましょう。

CCLはもともと360度アセスメントなど、リーダー育成のためのアセスメントツールの開発とツールの有効性を検証するための緻密な調査研究で有名なNPOで、Financial Timesにおける「アダルト・ラーニング機関の世界ランキング」で毎年トップ10に入っています。(その他、ランクインしている機関ではハーバード大学などのビジネススクールがありますが、CCLはその中で唯一のNPOです。)

これまでリーダー個人の育成に焦点を当ててきたCCLですが、本年度のプレゼンテーションのキーワードは「Talent Sustainability」です。、これは「自社の現在そして未来における成功のために、有能な人材を引きつけ、育成し、強いコミットメントを持ってパフォーマンスをあげさせることのできる『組織としての能力』」を意味します。このTalent Sustainabilityは「Talent Strategy(採用やパフォーマンスマネジメント等を含む)」と「Talent Culture(リーダーが育つ企業文化の開発等を含む)」から構成されています。CCLの調査研究によれば、この両方の開発を行っている企業が高い組織的パフォーマンスを挙げているそうです。

CCLが提唱する大きなパラダイムチェンジは、いくらリーダー育成を行っても、それだけでは不十分であり、リーダーが育成され、リーダーシップを発揮するための「企業(組織)文化」の開発を同時に行うことが重要であるということです。人材開発担当者にとっては、従来のような目に見えるコンテンツの管理と評価から、リーダーが育つ文化、学習する文化と言った「目に見えないコンテクスト」をマネジメントできる能力が求められることになると言えます。

さらに昨年から引き続きあるキーワードとしては「パフォーマンス」が挙げられます。
人材開発はOff-JTで実施すれば終了というものではなく、学んだものを現場で使ってパフォーマンスを向上させるというところまで踏み込むべきであり、そのためには現場のマネージャーの支援を得たり、リーダがーリーダーシップを発揮しやすいような仕組みを作ることが求められています。
またROI(Return On Investment)もこのパフォーマンスに関連する重要なキーワードです。
上記のようなキーワードを見ると、これからの人材開発担当者は人材開発にとどまらず、「組織開発(OD:Organizational Development)」を行える能力が要求されていることになります。

world.jpg

今回は人材開発の役割が「人材開発」から「組織開発」へと変化しているという大局的なフレームワークだけをご紹介しましたが、次回以降では企業文化といった目に見えないコンテクストの管理、現場の支援獲得とリーダーシップ発揮の仕組みづくり、研修やその他の施策の効果をどう評価し、次の企画や改善に結びつけるかなどについて、具体的な取組み事例についてご紹介したいと思います。
(ASTDはアメリカで実施されますので、アメリカ国内の事例に偏ることを避けるために、BRICsの一つであるロシアでの事例なども入れてみたいと思います。成長市場においても「タレントマネジメント」は重要な経営課題です。また民間企業に限らず、その他の組織における事例も柔軟に取り入れてご紹介できればと思います。)


■関連用語
リーダーシップ理論の変遷
学習する組織
フレームワーク思考





■関連コラム

トラックバック (0)

invenio menu iconこのエントリーのトラックバックURL:
https://leadershipinsight.jp/mt/mt-tb.cgi/574

アンケートのお願い


ご意見・ご感想をお聞かせください

今後の執筆の参考にさせて頂きますので、ご意見・ご感想をお聞かせください。
また、今後扱って欲しい題材なども受け付けておりますので、自由回答欄にご記入ください。

  • 大変参考になったので是非続きを読みたい
  • 参考になった
  • 普通
  • あまり面白くなかった
その他 自由回答欄(*差し支えなければお名前もご記入下さい。)