Leadership Insights / 個性とは、自分の「型」である

個性とは、自分の「型」である

(2006年11月20日)

~「ドタドタ」と「パッパ」~
先日、アートディレクターの佐藤可士和さんの話を聞く機会があった。

ご存知の方も多いと思うが、可士和さんは、SMAP、キリン、ユニクロ等々のビッグプロジェクトにおいて商品デザイン製作やCM製作を行い、数々の成功を収めた当代きってのヒットメーカーである。
そんな可士和さんの話の中に、非常に印象に残る言葉があった。
要約すると、以下のようなものだ。
「この人ならいっしょに仕事ができるなと判断することに時間は要りません。最初の3分、いや、挨拶しただけでもわかります。」
「その判断基準は、その人に『軸』があるかどうかです。軸がない人は、ドタドタしています。軸がある人は、どんなことが起こっても、何に取り組んでもパッパと対応できます。」

ドタドタとパッパの違い。これは軸の有無の違いというわけである。
私は「軸」ではなく「型」という表現を使うことが多いが、言わんとする意味はほぼ同じだろう。

ビッグクライアントの命運を握るビッグプロジェクトが可士和さんのもとに次々と舞い込む。これはきっと、可士和さんの持つ「軸」「型」がそうしたクライアントに大きな安心感と期待感を与えているからだと思う。期待値が定まらないところに安心感は無い。
「型(形)無し」では安心感を与えられないのだ。

私がよく行うコンピテンシー(成果を生み出す行動特性)のインタビューでも、ハイパフォーマーはどんな状況においても成果を生み出す再現性の高い、自分の「型」を持っている。勝ちパターンといってもよいだろう。そういう人は、課題が変わっても、相手が変わっても、自分なりに状況判断し、成功のための道筋を探り、修正を加えつつ実践して、成果を生み出す「型」を持っている。

~すぐれた「型」を持つためには~
これまでの経験から、すぐれた「型」を持っている人は2つのポイントをおさえているように思う。
①普遍性を持っている…物事には原理原則、成功要因、基本、ツボのようなものがある。すぐれた「型」を持っている人は、そこを外していない。
②自分に合っている…人間にはひとりひとり違った特徴や強みがある。それらをうまく活かすことで、型を進化させている。

では、「型」を身につけるためにどうすればよいか。
先ず①から始めるべきである。幸いなことに、我々が取り組む仕事の多くは、それが分析であれ、戦略立案であれ、問題解決であれ、チームマネジメントであれ、多くの先人が取り組んできたことと本質的に大きな違いはない。よって、先人の知恵や経験、歴史といったものから多くの知見が得られる。やはり「まなぶ」ことは「まねる」ことから始まるように思う。いきなりすべてをゼロベースから始めると、余計な回り道をしたり路頭に迷ったりしかねない。
①を会得しようと取り組む中から自分なりの成果が生まれ、それを積み重ねていくうちに②(自分の強み)に対する気づき、そして周囲からの承認・期待が生まれる。少しずつ仕事の難易度は増してくるが、だんだんツボがつかめてきて(「型」に普遍性が備わってきて)、成果も着実にあがってくる。仕事の上達とはそういうものではないだろうか。

千利休の言う「守・破・離」に通じるものがあるかもしれない。

私がクライアントに行っている仕事の多くも結局、この①②のサポートだと思う。
①は新規事業立案、戦略立案、問題解決、プレゼンテーション等々のツボを伝えることであるし、②はコンピテンシーインタビュー等を行うことで、その人が自分を見つめる「鑑」の役割となり、自分自身の行動パターンや動機に対する気づきを引き出すことである。

スポーツの世界、芸術の世界がそうであるように、生まれたままの個性だけで成果が出せるような人は世の中にほとんど存在しない。
個性は磨いてこそ味が出て、強みとなる。
個性を磨くこと、それは「型」を磨くことにほかならない。


高木 進吾


■関連用語
コンピテンシー
戦略策定
問題解決

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