Leadership Insights / インタビューから見えてくる、「できる人」の秘訣

インタビューから見えてくる、「できる人」の秘訣

(2005年08月16日)

「ウチの社内で『できる人(ハイパフォーマー)』と言われている○○さんの秘訣を探ってほしい」・・・最近、そんな目的のインタビューを依頼されることが多い。業種は様々で、役職も入社10年目くらいの一般社員から役員までと幅広い。人数はここ3ヶ月でも数十名にのぼる。

インタビューでは過去に取り組んできた仕事について、場面を細かく区切って、①どんな目標を立てたか→②どんな行動をとったか→③どんな結果だったかをつぶさに「思い出して」いただく(「べき論」や「ポリシー」ではなく「実際とった行動」を確認するところがポイント)。そうして50~60分も話をすると、その人がどういう行動パターンで成果を生み出しているかがよく見えてくる。ちなみに、この「成果を生み出す行動パターン/行動特性」が、いわゆる「コンピテンシー」というものである。

人によってコンピテンシーの種類や程度は様々である。しかし実は、その人がハイパフォーマーかどうかというのは、インタビューをはじめてすぐにわかることが多い。その見極め所は、「話のスラスラ感」である。これは口が達者とか、しゃべりがうまいという意味ではない。自分の仕事について、場面→目標設定→行動→結果という一連の流れを、いかに滞りなく具体的に話しているか、ということである。「あのときはこういう状況で、だからこういうことが重要で、こんな段取りで実現するために自分はこういうことをして、上司、部下にはこういうことをしてもらって、このへんちょっと苦労しましたけど、こういう結果が出ました」という話がスラスラと出てくるのである。私からの質問もあまり必要ない。ハイパフォーマーの多くは、話しながら気持ちよさそうですらある。

では、この「スラスラ感」の差はどこから生まれるのか。一言で言えば、それは「メタ認知」の差であると私は思う。メタ認知とは、第三者のような視点で、自分の行動やモノの見方・考え方の特徴・クセなどを客観的に認識しようとする態度のことである。自分の性格や強み弱みを断片的に知ろうとしている人はそれなりにいる。しかし、自分の行動やモノの見方・考え方の特徴・クセについてまで直視しよう、認識しようとしている人は10人に2人くらいしかいない、というのが私の実感である。

たいていのハイパフォーマーは自分の仕事に対して当事者意識もコミットメントも強いし、自分の能力を総動員し、のめり込んで働いている。その時はとにかく必死でメタ認知なんて全然していませんよ、と言うハイパフォーマーが多い。しかしよく話を聞いてみると、ハイパフォーマーはたいてい、のめり込みつつも同時に「自分は何がうまくできて何ができないか」「自分はどんなふうに行動したり考えたりしているのか」「本当にこのやり方がベストか」といったことを自問しており、終わった後も、もう一度「復習」して認識したことを自分の「アタマの引き出し」にしまったりしている。

そして、次の仕事に取り組むときにはその引き出しを開けて、「この場面での成功のポイントは何か」、「筋の良い解決プロセスはどういうものか」、「自分の今の特徴や能力からすると何がどのようにできて何ができないのか」、「だから自分は何をして、他の誰に何をしてもらえばいいのか」、といったシナリオを描き、実行段階でシナリオと現実の間のズレに気づいたらリカバリーショットを打ったりして成果をあげていく。これを繰り返すうちに、いろいろな場面に対する状況理解力(パターン認識力)や、それに適切に対応して成果を生み出すためのシナリオ設計力(アルゴリズム設計力)の精度が上がってくる。さらに、自分というものをよく知り、自分が何を磨けばよいかもわかっているので自己研鑽(バージョンアップ)が効率的でスピードも早い。これらが相まって、新しい場面に遭遇したり、役職が上がったりしても、成果を生み出す「再現性」が高いハイパフォーマーとなっていくのである。

また、ハイパフォーマーはメタ認知するための様々な行動をとっている。メモを取って自分の行動を記録に残したりすることもあれば、周りの人に自分の行動や考え方がどういうものかを聞いたり突っ込んでもらったりして、確かにそうだなと思えば素直に受け入れる。私のインタビューが終わったあと、「私の特徴はどういうものかわかりましたか。それを今教えていただけますか。」という質問をする人のほとんどはハイパフォーマーであったというのが私の経験則である。

「科学の精神は物事をありのままに見ることです。そのことで『考えていること』と『実際』とのズレに気づき、問題解決の道をショートカットできます」と、著名な脳科学者である茂木健一郎氏は語ったことがある。しかし自分自身をありのままに直視するというのはできそうでなかなかできない。自分が映っているプレゼンテーションのビデオひとつ見るだけでも結構気が引けるものである。しかし、だからこそ、そこに踏み込んでいく勇気を持つことが必要になってくるのではないだろうか。

以上


高木 進吾


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