Leadership Insights / ダイバーシティマネジメントの重要性

ダイバーシティマネジメントの重要性

(2005年02月15日)

最近ますます人事や経営の世界で、ダイバーシティの問題が重要視されるようになっている。日本の場合、ダイバーシティイコール女性活用という印象が強い。さらにその背景として少子高齢社会における企業の社会的責任という理由が浮かび上がってくる。もちろんこの論理展開はきわめて重要だが、ダイバーシティ推進の背景はもっと幅広い。むしろ企業の成長を支えるために必須と考えるべきではないだろうか。

まず女性や外国人の活用の背景を考えてみても、達成動機の強い人材の活用という意味がとても重要だろう。日本の伝統的大企業では、男性は全員上昇志向が強く、女性は全員上昇志向が弱いという前提でマネジメントしてきたのではないだろうか。それを微妙に感じ取っているから、均等法以降も、大企業の総合職の多くの女性はややもすると自らニッチキャリアである専門職系を目指してきたし、逆に上昇達成動機の強い女性は最初から外資系やベンチャーを目指したり、あるいは局アナなどの人気職種に殺到したりしていたのだろう。一方で上昇志向の弱い男性は自らを強いて、無理して昇進努力をしてきたが、その無理が現在のような一丁上がりの管理職をゆるさない状況で破綻をきたしていると考えられる。

20代の男性の上昇達成動機はあきらかに減退している。この環境で企業は女性や外国人の活用なしに十分動機の強い人材の確保ができるのだろうか。

さらに中国市場という現在最大の成長ポテンシャルを持つマーケットは、単に製造基地としてのローカル人材マネジメントとまったく違うレベルで、優秀な中国人材のマネジメントノウハウが必要である。これはあきらかに日本の本社も含めてのダイバーシティマネジメント能力が問われている。中国で成功している欧米系企業は、グローバルな人事体系やマネジメントのスタイルそのものがダイバーシティ対応しているため、中国でも基本は共通にできるが、日本企業の場合、中国現地法人の経営者クラスの日本人が、ダイバーシティマネジメント経験が無いケースも多く、大きな問題となっている。

もう一つの理由が、雇用形態の多様化や顧客重視への戦略転換である。中期の有期雇用契約が可能になったことなどで、契約社員や派遣社員にも、高度な専門性を持つ人材が増加し、一生この企業でお世話になろうという気の無い人たちをマネジメントする必要性は、確実に広がっている。さらには、例えば証券業界のFA制度やIT業界などのソリューションのように、雇用形態が有期になる働き方、あるいは契約上は有期でなくても、メンタルセットとして会社従属的でない職種が重要になる、顧客重視の経営戦略そのものが、マネジメントスタイルの変革を求めている。会社の推奨商品をどれだけ売ったかのノルマ管理で叱咤激励するかわりに、会社や上司に従順に努力すれば、生活給は年功的に保証するという職種の人たちのマネジメントスタイルは、女性や外人に限らず、契約専門社員、FAや社内プロフェッショナルなどの多くの新しい働き方をする人たちに通用しないのだ。

今こそ企業の成長戦略を支えるためにも、管理的支配的マネジメントスタイルからの脱皮が必要だ。それがダイバーシティマネジメントのベースにもなる。


高橋 俊介


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